ドラクロワを代表する名画《民衆を導く自由の女神》は、歴史の教科書等で一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
教科書なんて言いましたが、わたしがこの絵を良く知っているのはイギリスのバンドColdplayのアルバム『VIVA LA VIDA』のジャケットに《民衆を導く自由の女神》が選ばれているから。
さらにその昔、Dragon Ash全盛期に出た『Viva La Revolution』のジャケットもドラクロワのオマージュでした。
豊かな色彩とドラマチックな描写で独自の世界を作り出すドラクロワの作品は、それまでの常識を打ち破り、フォーヴィスムや印象派の画家たちに多大な影響を与えました。
そして、現代のミュージシャンにまでその魂は受け継がれているのです。
当ブログ「フランスボックス」では、そんな19世紀を代表するロマン主義の画家ウジェーヌ・ドラクロワゆかりの地をご紹介していきます。
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このページの目次
ウジェーヌ・ドラクロワ(Eugène Delacroix)とは?
ウジェーヌドラクロワ(Eugène Delacroix) | |
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出没年 | 1798年4月26日-1863年8月13日 65歳で結核性喉頭炎により死去 |
様式・流派 | ロマン派(ロマン主義) |
出身 | フランス(シャラントン・サン・モーリス) |
代表作 | 《民衆を導く自由の女神》ルーブル美術館 《サルダナパールの死》ルーブル美術館 《キオス島の虐殺》ルーブル美術館 《アルジェの女たち》ルーブル美術館 |
影響を受けた人物 | テオドールジェリコ |
幼少期から学生時代
ウジェーヌ・ドラクロワは、1798年4月26日にCharenton-Saint-Maurice(※現在のSaint-Maurice)で誕生。外交官の父親をもち、裕福な家庭で育ちました。
1815年、母方の叔父で画家のHenri-François Riesenerのすすめもあり、ドラクロワは新古典主義画家Pierre-Narcisse Guérinのアトリエに入門。
そこでロマン主義の先駆者Théodore Géricaultと知り合い、ジェリコーの代表作《メデューズ号の筏》に大きな衝撃を受けます。
1816年、エコール・デ・ボザール(国立美術学校)に入学。
芸術キャリア
1822年、初のサロンで《ダンテの小船》を出品します。審査員のAntoine-Jean Grosが絶賛し、強力な推薦により入選。
1824年のサロンには、実際に起きた事件(ギリシア人がオスマン帝国軍によって虐殺)を題材にした《キオス島の虐殺 Scène des massacres de Scio》を出品し、賛否両論を巻き起こしました。
グロは「これは(キオス島の虐殺ではなく)絵画の虐殺である」と酷評しましたが、フランス政府はこの作品を買い上げています。
1830年に制作した《民衆を導く自由の女神 La Liberté guidant le peuple》は、フランス7月革命をテーマに描いた作品で、ドラクロワを最も有名にした作品といえるでしょう。
1831年のサロンに出品されたこの作品は、フランス政府が買い上げ、1874年からルーブル美術館に収蔵されています。
ちなみにこの作品は、旧フランスの紙幣の100フラン札にドラクロワの肖像とともに描かれていました。同年、ドラクロワはレジオン・ドヌール勲章を受勲。
そして1832年、フランス政府の外交使節団に随行して、モロッコやアルジェリアなど北アフリカの国々を訪問。
1833年以降、ドラクロワはリュクサンブール宮殿や国会議事堂、パリ市庁舎など政府の依頼による大規模な公共建設物の装飾画の仕事を受注します。
1834年、北アフリカ滞在中のスケッチをもとに制作した《アルジェの女たち Femmes d’Alger dans leur appartement》をサロンに出品。
1836年、George Sandと交流のあったドラクロワは、サンドの紹介でFrédéric Chopinと出会います。
音楽に造詣が深く、自身もヴァイオリンを演奏したドラクロワは、ショパンの芸術を高く評価し、生涯の友情を結びました。
ショパンがサンドと別れてからも2人の交流は続き、ショパンの死後、ドラクロワは深い悲しみの中で、ショパンの横顔のデッサンを描いています。
1844年、パリの3区にあるサン・ドニ・デュ・サン・サクルマン教会(Église Saint-Denys-du-Saint-Sacreme)の壁画《ピエタ La Pietà》を作成。
1850年、政府からルーブル宮「アポロンの間」の天井装飾画の依頼を受けたドラクロワは、翌年に《大蛇の神ピュトンに打ち勝つアポロン Apollon vainqueur du serpent Python》を作成。
晩年
1855年のパリ万国博覧会では特別室を与えられ、ドラクロワの油彩画36点が展示されました。
なかでも新古典主義の巨匠と呼ばれたDominique Ingresは、ロマン主義絵画を毛嫌いし、ドラクロワを「美の破壊者」と批判。
こうして30年にわたって繰り広げられた対立も1857年にようやく終結し、ドラクロワは王立アカデミーの会員に迎え入れられました。
1863年8月13日、ウジェーヌ・ドラクロワはサン・ジェルマン・デ・プレ界隈のアパルトマンで65年の人生に幕を閉じます。
ウジェーヌ・ドラクロワゆかりの地ベストシーズン
フランスのベストシーズンは1年中と言っても過言ではありません。
どの季節も素晴らしいのですが、お墓参りやパリの街を散策するなら気候の良い春から秋にかけてがおすすめです。
4月~10月までは営業時間が延びる施設が多く、多くのスポットを観光することができますよ!
美術館巡りであればあえて空いているオフシーズンの冬でも全く問題ありません。
ウジェーヌ・ドラクロワゆかりの地4選
①サン・シュルピス教会(Église Saint-Sulpice)
「ダヴィンチ・コード」で一躍有名になったサン・シュルピス教会。
左右非対称の塔をもつ教会で、フランスでも有数の規模を誇ります。
教会に入ってすぐ右手の「サン・アンジュ礼拝堂」には、ドラクロワの晩年の傑作といわれる壁画《天使とヤコブの闘い》、《神殿を追われるヘリオドロス》、《悪魔を倒す天使長聖ミカエル》があります。
これらの壁画を制作するために、ドラクロワはサン・シュルピス教会近くのアパルトマンに移り住み、12年もの歳月をかけて完成させました。
教会の左手にはグノモンの日時計とオベリスク、身廊の上方にはAristide Cavaillé Collが制作した世界最大級のパイプオルガンもあり、パリの観光穴場スポットになっています!
詳しい情報に関しては「サンシュルピス教会の行き方・営業時間・見どころ徹底ガイド」にまとめています。
サンシュルピス教会 | |
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住所 | 2 Rue Palatine, 75006 Paris 地図 |
最寄り | メトロ4号線Saint-Sulpice |
時間 | 8:00-17:45 |
定休 | – |
HP | https://www.paroissesaintsulpice.paris/ |
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
②国立ウジェーヌ・ドラクロワ美術館(Musée National Eugène Delacroix)
サン・ジェルマン・デ・プレ界隈にある国立ウジェーヌ・ドラクロワ美術館は、晩年ドラクロワがサン・シュルピス教会の壁画を仕上げるために移り住んだアトリエ兼住居だった場所です。
ドラクロワの死後、アトリエ解体が計画されましたが、Maurice DenisやPaul Signac、Édouard Vuillardなどの画家たちはドラクロワの功績を称えた「ウジェーヌ・ドラクロワ友の会」を結成し、ドラクロワのアパルトマンとアトリエ、中庭を購入。
その後、建物は国に寄付され、1971年に国立ウジェーヌ・ドラクロワとして開館。
2004年にはルーブル美術館と併合し、ルーブル美術館の分館として公開されています。
収集されたコレクションは1000点以上にのぼり、《民衆を導く自由の女神》の習作をはじめ、絵画、デッサン、版画、ドラクロワの使っていたパレット、自筆の手紙、ドラクロワを敬愛した芸術家たちの作品などが所蔵されています。
またサロンや図書室、寝室には、ドラクロワが実際に使っていた家具も展示されています。
絵画だけでなく、音楽や文学にも造詣が深かったドラクロワは、フレデリック・ショパンとジョルジュ・サンドとも親交がありました。
ドラクロワは2人の肖像画を描いており、死後、ドラクロワのアトリエから未完成の肖像画が見つかりました。
残されていたデッサンから、本来はピアノを弾いているショパンの背後にジョルジュ・サンドが描かれた1枚の作品であったことが分かっています。
のちに2つに切り取られて別々に売り出され、現在、《フレデリック・ショパンの肖像》はルーブル美術館に、《ジョルジュ・サンドの肖像》はデンマークのオードロップゴー美術館(Ordrupgaard Museum)に所蔵されています。
詳しい情報に関しては「ドラクロワ記念館の行き方・営業時間・見どころ徹底ガイド」にまとめています。
国立ドラクロワ美術館 | |
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住所 | 6 Rue de Furstemberg, 75006 Paris 地図 |
最寄り | メトロ4号線Saint-Germain-des-Prés駅 |
時間 | 9:30-17:30(水-月) |
定休 | 1月1日、5月1日、12月25日 |
料金 | 7ユーロ |
HP | http://www.musee-delacroix.fr/fr/ |
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
③ルーブル美術館(Musée du Louvre)
かつて歴代フランス王家の宮殿だったルーブル宮は、ルイ14世によって王宮がヴェルサイユに移されたのを契機に、王室美術コレクションの収蔵場所になりました。
フランス革命後、王室美術コレクションは国有の財産となり、1973年にルーブル美術館として開館。
ルーブル美術館のシンボルとなっているガラスのピラミッドは1989年に完成し、リシュリュー翼、ドゥノン翼、シュリー翼の3つの翼から構成された世界最大級の規模を誇る美術館となっています。
ドラクロワの傑作といわれる《民衆を導く自由の女神》は、1830年のフランス7月革命で蜂起した人民の姿を描いた作品で、民衆を導く女性はフランスを象徴する女性像の「マリアンヌ」。
他にも《ダンテの小船》、《キオス島の虐殺》、《サルダナパールの死》、《ウジェーヌ・ドラクロワの肖像》、《フレデリック・ショパンの肖像 Frédéric Chopin》などが展示されています。
またドラクロワに大きな影響を与えたロマン主義の先駆者テオドール・ジュリコーの《メデューズ号の筏 Le Radeau de la Méduse》も合わせて鑑賞することができます。
ルーブル美術館 | |
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住所 | Rue de Rivoli, 75001 Paris 地図 |
最寄り | メトロ1号線,7号線Palais-Royal-Musée du Louvre駅 |
時間 | 9:00-18:00(月・水・木・土・日) 9:00-21:45(金) ※閉館時間の45分前まで入場可能 |
定休 | 毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日 |
料金 | 22ユーロ 18歳以下無料 ミュージアムパスOK |
HP | https://www.louvre.fr/ |
チケット | ルーブル美術館のチケット |
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
④ペール・ラシェーズ墓地(Cimetière du Père-Lachaise)
パリの三大墓地の1つ「ペール・ラシェーズ墓地」は、多くの著名人が眠り、年間を通してたくさんの旅行者が参拝に訪れるパリ名所となっています。
1863年8月13日に65歳で死去したドラクロワもこの墓地に埋葬されています。多くの偉人が眠る中とりわけ立派で目立つのですぐわかると思います。
また深い友情で結ばれていたフレデリック・ショパンも同じ墓地に眠ります。
ドラクロワのお墓を訪れる際には、墓地の入り口で無料の墓地案内図をもらうかスマホに写真を撮っておきましょう。
- フランスを代表するシャンソン歌手
エディット・ピアフ - イタリア出身の俳優・シャンソン歌手
イヴ・モンタン - アイルランド出身の作家・劇作家・詩人
オスカー・ワイルド - イソップ寓話で有名なフランスの詩人
ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ - フランスのロマン主義を代表する画家
ウジェーヌ・ドラクロワ - フランスの文豪
オノレ・ド・バルザック - 長編小説「失われた時を求めて」
マルセル・プルースト - オペラの女王・ソプラノ歌手
マリア・カラス - エコール・ド・パリを代表する画家
アメデオ・モディリアーニ - ロマン派を代表する作曲家
フレデリック・ショパン - 印象派の画家
カミーユ・ピサロ - 画家・絵画収集家
ギュスターヴ・カイユボット - オペラ《カルメン》の作曲家
ジョルジュ・ビゼー - フランス6人組・作曲家
フランシス・プーランク - オペラ《セビリアの理髪師》の作曲家
ジョアキーノ・ロッシーニ - バルビゾン派の画家
カミーユ・コロー - 画家
ジョルジュ・スーラ - 新古典主義の巨匠
ドミニク・アングル - 新古典主義の画家
ジャック=ルイ・ダヴィッド - 女性前衛画家
マリー・ローランサン
詳しい情報に関しては「ペールラシェーズ墓地の行き方・営業時間・見どころ徹底ガイド」にまとめています。
ペール・ラシェーズ墓地 | |
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住所 | 16 Rue du Repos, 75020 Paris 地図 |
最寄り | メトロ2号線Philippe Auguste 駅 |
時間 | [11月-3月中旬] 8:00-17:30(月~金) 8:30-17:30(土) 9:00-17:30(日・祝) [3月中旬-10月] 8:00-18:00(月~金) 8:30-18:00(土) 9:00-18:00(日・祝) |
定休 | ー |
料金 | ー |
HP | https://pere-lachaise.com/ |
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
ウジェーヌ・ドラクロワゆかりの地まとめ
数々の名画を残したドラクロワ。
ダンテやシェイクスピアなどの文豪たちの作品からインスピレーションを得て、豊かな色彩とドラマチックな構図で描き、あらゆるジャンルの作品を制作しました。
晩年には政府の依頼により、リュクサンブール宮殿やパリ市庁舎などに神話画を描き、教会の壁画には宗教画も残しています。
独自の色彩理論を打ち立て、「色彩画家」とも呼ばれたドラクロワの作品は、時代を超えて世界中の人々を魅了し続けています。
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