《眠れるジプシー女》などで知られるフランスの画家アンリ・ルソーは、20世紀の絵画史を語る上で重要な画家の1人。
ルソーはパリ市の税関職員として働き、仕事の余暇に絵を描いていたため、「日曜画家」や「Le Douanier(税関吏)」の愛称で呼ばれていました。
サロンに出品した当初は見ての通り、旧来の芸術作品とは程遠く、美術評論家から嘲笑されていました。
しかし次第にPablo PicassoやGuillaume Apollinaireなどの前衛芸術家たちによってルソーの作品が評価されていきます。
初めてルソーの絵を観た時、あまりにも同じ時代の画家と画風が違うので驚きました。まさにヘタウマ!という感想。
当ブログ「フランスボックス」では、近現代美術に大きな影響を与えたヘタウマ純真画家ルソーゆかりの地をご紹介していきます。
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このページの目次
アンリ・ルソー(Henri Rousseau)とは?
アンリルソー(Henri Rousseau) | |
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出没年 | 1844年5月21日-1910年9月2日 66歳で脚の壊疽が原因で死去 |
様式・流派 | 素朴派、日曜画家、ドゥアニエ(税関吏)ルソーと呼ばれる |
出身 | フランス(ラヴァル) |
代表作 | 《私自身、肖像=風景》プラハ国立美術館 《戦争》オルセー美術館 《夢》MoMA |
影響を受けた人物 | ゴーギャン |
影響を与えた人物 | パブロピカソ、カンディンスキー、アポリネール、藤田嗣治、岡鹿之助 |
幼少期
1844年5月21日、アンリ・ルソーは、フランス北西部に位置するマイエンヌ県Lavalで誕生しました。
父はブリキ職人で生活は貧しかったといいます。
1863年、19歳の時勤務先の弁護士事務所で悪友に唆され盗みを働き逮捕。感化院へ送られるのを免れるため志願して軍隊へ入隊します。
1868年、父親が逝去。母の扶助を理由に除隊しますが、実家には戻らずパリへ上京。
すに恋に落ち、下宿先の娘Clémence Boitardと結婚。
1871年、パリで入市税関収税吏の職に就き、22年間勤務しました。
7人の子供を授かりますが、1886年までに6人の子供が亡くなっています。
芸術キャリア
1884年ルーブル美術館の模写許可証を得ると本格的に絵画の世界に没頭します。
仕事の傍ら独学で絵を描き続け、1886年にアンデパンダン展に初出品。
アンデパンダン展(サロン・ド・アンデパンダン)とは英語でindependentの意であり、無審査・無賞・自由出品を原則とする美術展のこと。
誰でも自由に出展できる素人展ではあるものの、ルソー、ロートレック、マティス、ゴーギャン、セザンヌ、ゴッホ、シニャック、ピサロ、ルドン、藤田嗣治など名だたる画家が作品を発表し、美術界へ大きな影響を与えた。
ルソーは全て独学で絵を学んだので、遠近法は無視され、人物の顔はほぼ正面を向いて同じような顔をしています。
あまりにも下手だと新聞で酷評され、嘲笑されますが、取り上げられたことを楽観的に受け止め自分は偉大な芸術家だとさらに自信を深めていきます。
1888年、妻クレマンスが死去。翌年パリ万博へ行き、刺激を受けます。
1890年に発表された作品が《私自身、肖像=風景 Moi-même, Portrait-paysage》
ここでも遠近法を無視し、自身を巨大に描いた自画像を製作しました。後ろには万博の国旗と完成間もないエッフェル塔。
大好きな気球と不思議な雲の形。靴を描くのが苦手でまるで宙に浮いているような不思議な絵。
まさにヘタウマの代表とも言える作品ですが、色彩感覚が抜群で魅力的に見えてきます。
手元のパレットをさかさまにすると、文字が見えますね。
実は二人の女性の名前が描かれており、一人は最初の妻クレマンス、そしてもう一人は再婚した妻ジョゼフィーヌ。
さらによく見るとマリーという名が消され、ジョセフィーヌと書き換えられているんです。
マリーは制作中に片思いしていた女性。ルソーはかなり惚れっぽい性格だったとも言われています。
1893年、年金が出るようになったため、仕事を早期退職し画業に専念。
1899年、Joséphine Nourryと再婚。
しかし1903年、2度目の妻ジョゼフィーヌにも先立たれます。
晩年
1908年、パブロ・ピカソはアンリ・ルソーを「バトー・ラヴォワール(洗濯船)」のアトリエに招き、美術評論家で詩人のギヨーム・アポリネールや仲間の画家たちと一緒にルソーの芸術性を讃えました。
1910年3月、最後の作品《夢 Le Rêve》を発表。
ジャングルをテーマにいくつもの作品を生みだしたルソーの集大成と言える傑作です。
横たわる女性はマネの《オランピア》でみられるような古典的なスタイルを用いています。
ルソーの得意な植物の葉はパリ植物園で観察されとても細やかに、緻密な描写がなされています。
その後、蜂窩織炎に苦しみ、1910年9月2日、パリの慈善病院で66歳の生涯を終えました。
葬儀にはポール・シニャック、アポリネールらが出席しています。
ルソーの遺骸は共同墓地に埋葬されましたが、その後友人画家たちの尽力で、生まれ故郷ラヴァルの墓地に移されました。
墓碑にはアポリネールの詩が刻まれています。
アンリ・ルソーゆかりの地ベストシーズン
どの季節も素晴らしいのですが、お墓参りやパリの街を散策するなら気候の良い春から秋にかけてがおすすめです。
4月~10月までは営業時間が延びる施設が多く、多くのスポットを観光することができますよ!
美術館巡りであればあえて空いているオフシーズンの冬でも全く問題ありません。
美術館だけがお目当てであれば、あえてオフシーズンでリーズナブルな冬の期間も良いと思います。
アンリ・ルソーゆかりの地4選
①オルセー美術館(Musée d’Orsay)
駅舎だった面影を残すオルセー美術館は、絵画をはじめ、彫刻、家具、工芸品など19世紀の幅広いコレクションを収蔵しています。
なかでも印象派やポスト印象派など19世紀末の前衛芸術コレクションが有名で、世界的に名高い巨匠の名画が揃います。
アンリ・ルソーの作品は、《戦争 La Guerre》、《蛇使いの女 La Encantadora de Serpientes》、《女性の肖像》などが展示されています。
ジャングルシリーズの植物の描きこみは本当に素晴らしいですね!
オルセー美術館 | |
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住所 | 1 Rue de la Légion d’Honneur, 75007 Paris 地図 |
最寄り | メトロ12号線Solférino駅 |
時間 | 9:30-18:00(火水金土) 9:30-21:45(木) ※閉館時間の45分前まで入場可能 |
定休 | 毎週月曜日、5月1日、12月25日 |
料金 | 16ユーロ 18歳以下無料 ミュージアムパスOK |
HP | https://www.musee-orsay.fr/ |
チケット | オルセー美術館チケット |
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
②オランジュリー美術館(Musée de l’Orangerie)
チュイルリー庭園内にあるオランジュリー美術館は、印象派の巨匠Claude Monetの大連作《睡蓮》で有名です。
オルセー美術館と並んで「印象派の殿堂」として名高く、印象派好きなら必ず訪れたい美術館。
印象派時代に活躍したアンリ・ルソーは、素朴派を代表する画家で、新印象派の画家Georges Seuratや20世紀の巨匠パブロ・ピカソなどから高く評価されました。
オランジュリー美術館では、一度見たら忘れないほどインパクトのある絵を描いたアンリ・ルソーの作品《婚礼》、《嵐の中の船》、《人形をもつ子供》、《崖》などを見ることができます。
オランジュリー美術館 | |
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住所 | Jardin Tuileries, 75001 Paris 地図 |
最寄り | メトロ1, 8, 12号線Concorde駅 |
時間 | 9:00-18:00 |
定休 | 毎週火曜日、5月1日、7月14日の午前、12月25日 |
料金 | 12.5ユーロ 18歳未満無料 ミュージアムパスOK |
HP | https://www.musee-orangerie.fr/ |
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
③パリ国立ピカソ美術館(Musée national Picasso-Paris)
マレ地区にあるパリ国立ピカソ美術館は、貴族の邸宅だった「オテル・サレ(塩の館)」と呼ばれる邸宅を改装して生まれました。
パブロ・ピカソの代表作はもちろん、ピカソ自身が購入した絵画も展示されています。
中にはアンリ・ルソーの作品もあり、《女性の肖像》、《ランプのある自画像》、《ランプと2番目の妻の肖像》、《平和の印として共和国に挨拶に来た諸大国の代表者たち》などを見ることができます。
ピカソは生涯この4枚を手放しませんでした。
当時、世間ではほとんど評価されていなかったアンリ・ルソーの絵をピカソが5フランで購入し、その後ピカソはアンリ・ルソーを「バトー・ラヴォワール(洗濯船)」のアトリエに招き、その絵を称賛し、他の芸術家たちと励ましたという逸話が残っています。
ピカソ美術館 | |
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住所 | 5 Rue de Thorigny, 75003 Paris 地図 |
最寄り | メトロ8号線Saint-Sebastien-Froissart駅 メトロ1号線St-Paul駅 |
時間 | 10:30-18:00(火~金) 9:30-18:00(土・日・祝日) |
定休 | 毎週月曜日 5月1日、12月25日、1月1日 |
料金 | 16ユーロ 18歳未満無料 ミュージアムパスOK |
HP | https://www.museepicassoparis.fr/fr |
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
④パリ植物園(Jardin des Plantes)
アンリ・ルソーは、ジャングルの動植物の絵を多く描いています。
ルソー本人はメキシコ従軍時の経験を元に描いたと語っていますが、実際にジャングルへ行ったという事実はなく虚言の傾向もあると疑われていたようです。
当時パリ5区にある植物園には1836年に完成した大温室のオリエンタル館(現在ニューカレドニア温室)があり、当時パリ市民の人気を集めていました。
ルソーは植物園へ足繁く通い、そこで念入りにスケッチし、豊かな想像力とともにアンリ・ルソーの空想の世界を描き上げました。
パリ植物園 | |
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住所 | 57 Rue Cuvier, 75005 Paris 地図 |
最寄り | メトロ7,10号線Jussieuジュシュー駅 メトロ5,10号線Gare d’Austerlitzガール・ドステルリッツ駅 |
時間 | 7:30-20:00(夏季) 8:00-17:00(冬季) |
定休 | ー |
料金 | 無料 ※ギャラリー、温室、動物園などは有料 |
HP | https://www.jardindesplantesdeparis.fr/fr |
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
アンリ・ルソーゆかりの地まとめ
パリの税関職員だったアンリ・ルソーは日曜画家として絵画制作をし、独創的で幻想的な情景を描きました。
ちょうどプリミティヴィズム(原始主義)の気運も高まり、常識にとらわれない技法で描くルソーの作品は、次第に評価され、美術史上に残る画家の1人に。
独特の存在感をもち、見る人を幻想的な世界へと引き込む作風は、ピカソやマティス、カンディンスキーなどの前衛的な芸術家たちに多大な影響を与えたのも納得ができます。
また、ルソーの才能にいち早く気づいた日本人画家たちのおかげもあり、ルソーの作品は日本国内に沢山あります。
パリにすぐ行くのは難しいという方は、ぜひ日本の美術館で本物のルソーに触れ、楽しんでみてください!
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