装飾的で官能的なロココ様式に続いてフランス美術を牽引したのが新古典主義で、その確立者となったのがジャック・ルイ・ダヴィッド(Jacques Louis David, 1748-1825)です。
有名なナポレオンの肖像画《サン・ベルナール峠を越えるボナパルト》は、みなさんも一度は見たことがあると思います。
18世紀中頃から、古典美術をもう一度見直そうという風潮が生まれました。
ちょうどその頃、ポンペイの遺跡発掘が始まり、多くの古代遺跡が発見されました。
新しい時代の幕開けと同時に、古き良き時代への懐古的な精神文化が育ち、これが新古典主義の始まりとなりました。
今回は、フランス新古典主義の代表する画家ジャック・ルイ・ダヴィッドのゆかりの地をご紹介していきます。
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このページの目次
ジャック・ルイ・ダヴィッド(Jacques Louis David)とは?
ジャックルイダヴィッド(Jacques Louis David) | |
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出没年 | 1748年8月30日-1825年12月29日 76歳で死去 |
様式・流派 | 新古典主義、ナポレオン主席画家 |
出身 | パリ |
代表作 | 《ホラティウス兄弟の誓い》ルーブル美術館 《ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠》ルーブル美術館 《サン・ベルナール峠を越えるボナパルト》マルメゾン城 《マラーの死》ベルギー王立美術館 |
影響を受けた人物 | フランソワブージェ、ニコラプッサン、ヴァランタン・ド・ブーローニュ |
影響を与えた人物 | ドミニクアングル、アンヌルイジロデドルシートリオゾン、フランソワジェラール、アントワーヌジャングロ |
幼少期から青年期
ジャック・ルイ・ダヴィッドは、1748年8月30日にパリで商人の子として誕生。
幼少の頃に両親を失い、叔父によって育てられました。
ロココ絵画を多く所有していた叔父は、ダヴィッドが絵に興味をもち、類稀な才能を示したため、当時最も高名な画家のひとりであったFrançois Boucherのもとへ送りました。
ブージェはダヴィッドの母の従兄弟でした。ブージェはJoseph-Marie Vienを紹介し、ダビッドは師事しました。
1774年、《アンティオコスとストラトニケ》で若手画家の登竜門であったローマ賞を受賞し、1775年から1780年にかけてイタリアに留学。
ローマでイタリア古典絵画の研究をし、これによりロココから新古典主義の画風へと変わっていきます。
芸術キャリア
1783年から1784年まで、再びローマを訪れます。
1784年にルイ16世から注文を受けて、ダヴィッドはローマで《ホラティウス兄弟の誓い》を制作。
ダヴィットは政治的な思想も持ち合わせ、1789年のフランス革命時には、ジャコバン派(革命派)として政治的手腕も発揮し、革命を題材にした作品も制作します。
1792年には国民議会議員になり、翌年にはモンターニュ派のリーダーのひとりであったJean Paul Maratがジロンド派のCharlotte Cordayに暗殺された事件を描いた《マラーの死》を制作。
1794年、Maximilien Robespierreに協力し、一時期国民公会議長も務めました。
同年にロベスピエールが失脚すると、ダヴィッドもまた逮捕され、4ヶ月間リュクサンブール宮殿に勾留されてしまいます。
晩年
恩赦の後、若手画家の指導に専念したダヴィットでしたが、ナポレオンによって1804年に首席画家に任命されます。
1806年から1807年にかけて、ダヴィッドは縦6.1m、横9.3mの大作《ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠》を描きました。
1808年、「帝国における騎士ダヴィッド」の爵位を与えられます。
1815年、ナポレンの失脚により、翌年ダヴィットはブリュッセルに亡命。
1825年、フランスに戻ることなく、ブリュッセルにて77年の生涯を終えました。
ダヴィッドの遺体はフランスに戻されることが許されませんでしたが、心臓はペール・ラシェーズ墓地に埋葬されました。
ダヴィッドゆかりの地巡りのベストシーズン
フランスのベストシーズンは1年中と言っても過言ではありません。
どの季節も素晴らしいのですが、郊外や街歩きを楽しみたいなら気候の良い春から秋にかけてがおすすめです。
4月~10月までは営業時間が延びる施設が多く、多くのスポットを観光することができますよ!
美術館だけがお目当てであれば、あえてオフシーズンでリーズナブルな冬の期間も良いと思います。
ダヴィッドゆかりの地2選
①ルーブル美術館
かつて歴代フランス王家の宮殿だったルーブル宮は、ルイ14世によって王宮がヴェルサイユに移されたのを契機に、王室美術コレクションの収蔵場所になりました。
フランス革命後、王室美術コレクションは国有の財産となり、1973年にルーブル美術館として開館。
ルーブル美術館のシンボルとなっているガラスのピラミッドは1989年に完成し、リシュリュー翼、ドゥノン翼、シュリー翼の3つの翼から構成された世界最大級の規模を誇る美術館となっています。
ルーブル美術館に所蔵されているジャック・ルイ・ダヴィッドの代表作品をご紹介します。
ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠
《ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠》は、ダヴィッドの大作のひとつ。
パリのノートルダム大聖堂で行われた皇帝戴冠式での一場面を制作するようナポレオンにより命じられたダヴィッドは、約3年の歳月をかけて完成させました。
政治的なプロパガンダに利用された作品で、脚色された部分もあります。
ヴェルサイユ宮殿の「戴冠の間」には、ほぼ同じ作品があります。ダヴィッド本人による複製で、ナポレオンの妹のドレスの色が白からピンク色に変えられています。
レカミエ夫人の肖像
《レカミエ夫人の肖像》は、パリの富裕な銀行家のレカミエ夫人によって依頼されたもので、その美貌と才知によってフランス社交界で注目を一身に集めていた女性です。
レカミエ夫人はダヴィッドに依頼したものの、多忙によりなかなか制作を進めることができず、しびれを切らした夫人は、ダヴィッドの弟子Francois Gerard にも肖像画を依頼。
結局未完成のままダヴィットの手元に残された作品です。
サビニの女たち
《サビニの女たち》は、ダヴィッドが1799年に描いた歴史画作品で、古代ローマ創世時のサビニの女たちの奪略という伝説的エピソードを題材にしています。
ロベスピエールの失脚により、ダヴィッドもリュクサンブール宮殿に収監されますが、その時にこの作品の構想を練り始めたといわれています。
ホラティウス兄弟の誓い
《ホラティウス兄弟の誓い》はローマ初期の歴史物語を描いたもので、ホラティウス三兄弟が祖国のために戦うことを父親に向かって誓いを立てている場面で、命を捨て死ぬまで戦うという決意に満ちた様子が力強く表現されています。
一方で男性たちの姿とは対照的に、子どもと女性たちの姿は悲しみに暮れ、見る者の心をふさぎます。
ルーブル美術館には、他にもダヴィットの義理母をモデルに制作された肖像画《ペクール夫人の肖像》やルイ16世の弟アルトワ伯爵の寝室を装飾する作品として制作された《パリスとヘレネの恋》、ダヴィッドの歴史画作品の傑作《ブルートゥス邸に息子たちの遺骸を運ぶ刑吏たち》などが展示されています。
ルーブル美術館 | |
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住所 | Rue de Rivoli, 75001 Paris 地図 |
最寄り | メトロ1号線,7号線Palais-Royal-Musée du Louvre駅 |
時間 | 9:00-18:00(月・水・木・土・日) 9:00-21:45(金) ※閉館時間の45分前まで入場可能 |
定休 | 毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日 |
料金 | 22ユーロ 18歳以下無料 ミュージアムパスOK |
HP | https://www.louvre.fr/ |
チケット | ルーブル美術館のチケット |
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
②ペール・ラシェーズ墓地
ナポレオンの失脚後、ジャック・ルイ・ダヴィッドはブリュッセルへ亡命し、1825年に77年の生涯を終えました。
シャルル10世(ルイ16世の弟アルトワ伯爵)は、ダヴィッドの遺体を本国に送還させることを許さず、ペール・ラシェーズ墓地には心臓だけが納められました。
- フランスを代表するシャンソン歌手
エディット・ピアフ - イタリア出身の俳優・シャンソン歌手
イヴ・モンタン - アイルランド出身の作家・劇作家・詩人
オスカー・ワイルド - イソップ寓話で有名なフランスの詩人
ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ - フランスのロマン主義を代表する画家
ウジェーヌ・ドラクロワ - フランスの文豪
オノレ・ド・バルザック - 長編小説「失われた時を求めて」
マルセル・プルースト - オペラの女王・ソプラノ歌手
マリア・カラス - エコール・ド・パリを代表する画家
アメデオ・モディリアーニ - ロマン派を代表する作曲家
フレデリック・ショパン - 印象派の画家
カミーユ・ピサロ - 画家・絵画収集家
ギュスターヴ・カイユボット - オペラ《カルメン》の作曲家
ジョルジュ・ビゼー - フランス6人組・作曲家
フランシス・プーランク - オペラ《セビリアの理髪師》の作曲家
ジョアキーノ・ロッシーニ - バルビゾン派の画家
カミーユ・コロー - 画家
ジョルジュ・スーラ - 新古典主義の巨匠
ドミニク・アングル - 新古典主義の画家
ジャック=ルイ・ダヴィッド - 女性前衛画家
マリー・ローランサン
詳しい情報に関しては「ペールラシェーズ墓地の行き方・営業時間・見どころ徹底ガイド」にまとめています。
ペール・ラシェーズ墓地 | |
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住所 | 16 Rue du Repos, 75020 Paris 地図 |
最寄り | メトロ2号線Philippe Auguste 駅 |
時間 | [11月-3月中旬] 8:00-17:30(月~金) 8:30-17:30(土) 9:00-17:30(日・祝) [3月中旬-10月] 8:00-18:00(月~金) 8:30-18:00(土) 9:00-18:00(日・祝) |
定休 | ー |
料金 | ー |
HP | https://pere-lachaise.com/ |
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
ダヴィッドゆかりの地まとめ
フランス史の激動期に活躍した新古典主義の巨匠ジャック・ルイ・ダヴィッドは、革命の画家とも呼ばれ、一時的に政治家・革命家としても活躍しました。
ロベスピエールの失脚後は政治活動から離れましたが、ナポレオンの抜擢により皇帝の首席画家として再び脚光を浴びた画家です。
「肖像画は本人に似ている必要はない。そこからその人物の天才性が滲み出していればいいのだ。」というナポレオンの言葉通り、ダヴィッドのナポレオンに関する作品は、そのほとんどが真実からかけ離れていました。
ナポレオンを英雄としての存在感を高めるため、ダヴィットの肖像画が果たした歴史的役割は非常に大きかったことは言うまでもありません。
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