アンリ・ド・トゥールーズ・ロートレックは、19世紀末に活躍した名門貴族出身のフランス人画家です。
娼婦やモンマルトルのキャバレーで働く女性たちなどを巧みな視点でとらえ、風俗画をはじめ、肖像画や裸婦画などを描きました。
生涯、障害や病気で苦しみましたが、明るく社交的な性格で多くの人から愛されました。
リトグラフによるポスターを数多く手がけ、革新をもたらしたことでも知られています。
わたしも特に好きな画家のひとりで東京の展覧会にも足を運びました。
当ブログ「フランスボックス」では、ポスターを芸術まで高めたロートレックゆかりの地をご紹介していきます。
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このページの目次
アンリ・ド・トゥールーズ・ロートレック(Henri de Toulouse-Lautrec)とは?

アンリドトゥールーズロートレック(Henri de Toulouse-Lautrec) | |
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出没年 | 1864年11月24日-1901年9月9日 36歳でアルコール依存症と梅毒により死去 |
様式・流派 | ポスト印象派、アール・ヌーヴォー |
出身 | フランス(アルビ) |
代表作 | 《束の間の征服 (コルセットを着ける女)》オーギュスタン美術館 《踊るジャンヌ・アヴリル》オルセー美術館 《ムーラン・ルージュにて》シカゴ美術館 《ムーラン・ルージュのラ・グーリュ(ポスター)》トゥールーズ・ロートレック美術館 |
影響を受けた人物 | エドガードガ |
影響を与えた人物 | パブロピカソ |
幼少期

1864年11月24日、ロートレックは、フランス南西部の古都アルビで誕生。
トゥールーズ・ロートレック家は9世紀から続く名門貴族の家柄で、ロートレックは幼少時代を何不自由なく育ちます。
しかし両親が従兄妹同士の近親婚であったためか、ロートレックと弟には遺伝子疾患がみられ、弟は幼くして亡くなっています。
1878年、ロートレックは椅子から落ちて左大腿骨を、翌年には右大腿骨を立て続けに骨折。
それ以降、上半身は成長したものの、下半身の発育は止まってしまいました。
体が不自由になると、ロートレックは父親から疎まれるようになり、祖父の家で多くを過ごすようになります。
傷つき、辛い日々でしたが明るく振る舞い周囲に心配をかけないよう過ごしました。
絵の上手だった祖父の影響もありロートレックは絵に興味を持ち、画家René Princeteauから絵の指導を受けます。
芸術キャリア
1882年、パリに出て、Léon Bonnatの画塾に入門。
エコール・デ・ボザール(国立美術学校)の教授就任によりレオン・ボナのアトリエが閉鎖されると、Fernand Cormonの画塾へと移ります。
ここでゴッホやÉmile Bernardらに出会います。
のちに画家となりMaurice Utrilloの母として知られるSuzanne Valadonと出会ったのが1885年のこと。
ヴァラドンはロートレックのモデルを務め、一時的に同棲関係にもなっています。
1888年、ブリュッセルで開催された近代芸術家たちのグループ展「20人展」に出品。

1889年、モンマルトルにキャバレー「ムーラン・ルージュ」が開店すると、店からポスターを依頼され、これを機に知名度を上げます。

1889年から1894年にかけて、前衛芸術家たちによるアンデパンダン展に定期的に出品。
アンデパンダン展(サロン・ド・アンデパンダン)とは英語でindependentの意であり、無審査・無賞・自由出品を原則とする美術展のこと。
誰でも自由に出展できる素人展ではあるものの、ルソー、ロートレック、マティス、ゴーギャン、セザンヌ、ゴッホ、シニャック、ピサロ、ルドン、藤田嗣治など名だたる画家が作品を発表し、美術界へ大きな影響を与えた。
1891年、リトグラフの制作を開始。
1893年、ブソ・エ・バラドン画廊で初めての個展が開かれます。
ルイーズ・ウェヴェール、通称「ラ・グリュ」、イヴェット・ギルベール、ジャンヌ・アヴリルなどのトップダンサー達や同時期モンマルトルで働く多くの娼婦も描きました。
自身が障害者であることから、社会的弱者に対して愛情を持って接したロートレックはどこへ行っても人気者でした。
晩年
晩年のロートレックは、身体の痛みを紛らわすため大量にアルコールを摂取したことによる依存症や梅毒が原因で急速に健康を害していきます。
1901年9月9日、母親の暮らすマルメロ城で、両親に看取られながら36歳の若さで死去。
ロートレックの死後、残された膨大な作品は小学校からの同級生で親友であったMaurice Joyantに託されました。
ジョワイヤンは、パリのモンパルナスで画商になっていました。
ジョワイヤンによってロートレックの作品は、故郷アルビのベルビー宮殿に収蔵され、1922年にトゥールーズ・ロートレック美術館として開館しました。
ロートレックゆかりの地ベストシーズン
フランスのベストシーズンは1年中と言っても過言ではありません。
どの季節も素晴らしいのですが、郊外もめぐるのであれば気候の良い春から秋にかけてがおすすめです。
4月~10月までは営業時間が延びる施設が多く、多くのスポットを観光することができますよ!

美術館だけがお目当てであれば、あえて、オフシーズンでリーズナブルな冬の期間も良いと思います。
ロートレックゆかりの地5選
①トゥールーズ・ロートレック美術館(Musée Toulouse Lautrec)

フランス南西部に位置する古都アルビは、ロートレックの故郷。
アルビの司教都市は、2010年にユネスコの世界遺産に登録されています。

トゥールーズ・ロートレック美術館は、1922年にトゥールーズ・ロートレック伯爵夫妻の寄贈のコレクションをもとに開館した美術館です。

アルビの貴族の家に生まれ、裕福な生活ができたものの、障害や病気で苦しみ早世したロートレック。
ここからパリにでて、ムーラン・ルージュなどパリのナイトライフにどっぷりと浸かり、アルコール障害が進行していくのかと思うと、色々考えさせられます。

ロートレック最大のコレクションを誇るトゥールーズ・ロートレック美術館は見ごたえたっぷりで、実際に足を運んでみると、想像以上に広く、1時間ではとても時間が足りません。

デッサン、リトグラフ、ポスター、油彩画、彩色画、手紙、写真などロートレックの1000点以上に及ぶコレクションが展示されているほか、ゴッホやマティス、Pierre Bonnardなど同時代を生きた画家たちの作品も鑑賞することができます。

バスツアーで時間も限られているため、メインのコレクションに時間をかけたあとは、足早にぐるりとまわりました。
建物自体も、もともと中世時代の司教館であったベルビー宮殿が使用されており、あちこちまわるのが楽しいです。
高くそびえる重厚な壁は、当時要塞の役割も果たしたのだそう。

ルネサンス期から18世紀にかけて宮殿として変化を遂げ、美しいフランス式庭園も作られました。
庭園だけなら無料で入れます。ここは本当に気持ちの良い場所でした。

タルヌ川が見渡せるフランス式庭園も世界遺産の一部。作品だけでなく、建物やお庭も楽しんできてください!
トゥールーズ・ロートレック美術館 | |
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住所 | Palais de la Berbie, Pl. Sainte-Cécile, 81000 Albi地図 |
行き方 | アルビ・ヴィル駅から徒歩15分 |
時間 | 10:00-12:30 / 14:00-18:00(10月1日-5月31日) 10:00-18:00(6月1日-9月30日) |
定休 | 月曜日(夏季は営業)、1月1日、5月1日、11月1日、12月25日 |
料金 | 10ユーロ (企画展のみ6ユーロ) 18歳未満無料 |
HP | http://musee-toulouse-lautrec.com/ |
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
②オーギュスタン美術館(Musée des Augustins)

フランス南西部に位置するトゥールーズは、「バラ色の街」と呼ばれる赤レンガ造りの建物が立ち並ぶ美しい街です。
街の中心に位置し、トゥールーズの歴史的建造物に指定されているオーギュスタン美術館は、もともと聖オーギュスタン修道院として利用されていました。
フランス革命後、国の所有となり、1795年に美術館として開館。
世界でも有数のロマネスク彫刻のコレクションを誇ります。

父親のトゥールーズ・ロートレック伯爵によって寄贈されたロートレックの作品も所蔵しており、《束の間の征服 (コルセットを着ける女)》や《巻き髪をする女性》などを鑑賞することができます。
オーギュスタン美術館 | |
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住所 | 21 Rue de Metz, 31000 Toulouse 地図 |
行き方 | キャピトル広場から徒歩約9分 |
時間 | 改修工事のため、2025年まで閉館 |
定休 | – |
料金 | – |
HP | https://www.augustins.org/fr/ |
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
③ムーラン・ルージュ(Moulin Rouge)

アンリ・ド・トゥールーズ・ロートレックを語る上で欠かせないのが、赤い風車が目印の「ムーラン・ルージュ」。
モンマルトルにあるキャバレーで、フレンチカンカンなど多彩なエンターテイメントで人気を集め、パリを代表する観光スポットの1つになっています。
1889年にムーラン・ルージュが開店すると、ロートレックは店のポスターを依頼されました。

ムーラン・ルージュの踊り子たちを描き、一躍有名になったロートレックはムーラン・ルージュから便宜を図られ、キャバレーに入り浸るようになります。
やがてアルコール依存症となり、奔放な性生活により梅毒を患ってしまいます。
心身共に弱ったロートレックは、1901年に母親の住むマルロメ城で両親に看取られながら息を引き取りました。
ムーラン・ルージュ | |
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住所 | 82 Bd de Clichy, 75018 Paris 地図 |
最寄り | メトロ2号線Blanche駅 |
時間 | – |
定休 | – |
料金 | – |
HP | http://www.moulinrouge.fr/ |
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
④オルセー美術館(Musée d’Orsay)

パリ万国博覧会の際に建設されたオルセー駅を改装し、1986年に美術館として生まれ変わったオルセー美術館。
フランス印象派芸術の楽園といわれ、印象派の巨匠たちの作品をはじめ、19世紀の美術作品を収蔵しています。

世紀末の巨匠と呼ばれるアンリ・ド・トゥールーズ・ロートレックの作品も展示されており、《踊るジャンヌ・アヴリル》、《赤毛の女(見繕い)》、《ジュスティーヌ・ディール嬢》、《黒いボアの女》、《ベッド》、《女道化師シャ・ユ・カオ》、《ひとり》などを鑑賞することができます。
オルセー美術館 | |
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住所 | 1 Rue de la Légion d’Honneur, 75007 Paris 地図 |
最寄り | メトロ12号線Solférino駅 |
時間 | 9:30-18:00(火水金土) 9:30-21:45(木) ※閉館時間の45分前まで入場可能 |
定休 | 毎週月曜日、5月1日、12月25日 |
料金 | 16ユーロ 18歳以下無料 ミュージアムパスOK |
HP | https://www.musee-orsay.fr/ |
チケット | オルセー美術館チケット |
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
⑤ヴェルデレ(Verdelais)

36歳という若さでこの世を去ったロートレックは、フランスの有名な巡礼地であるヴェルデレ大聖堂の墓地に埋葬されました。

ロートレックの最期の言葉は父親に向けて「Le vieux con! (愚かな年寄りめ!)」だったそうです。
ロートレックゆかりの地まとめ
類いまれな才能を持ちながらも退廃的な生活を送り、36歳の若さでこの世を去ったロートレック。
日本美術に興味を持ち、ロートレックのリトグラフやポスターには、浮世絵の影響を強く感じとることができます。
大胆に配置されたシルエットは見るものに強烈な印象を与え、同時代の画家たちにも大きな影響を与えました。

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