13歳のときに神の声を聞き、その後フランス軍に従事して、フランス王シャルル7世の戴冠に貢献した人物といえば…
そう!「ジャンヌ・ダルク」のことです。
わずか19歳で火刑台にたった悲劇のヒロイン、「オルレアンの乙女」とも呼ばれている国民的な英雄です。
今回は、ジャンヌ・ダルクゆかりの地を歴史の流れに沿ってご紹介していきます。
わたしもこの記事を読みながら、また別の角度で街歩きを楽しみたいなぁと妄想旅行を繰り広げています。
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このページの目次
ジャンヌ・ダルク(Jeanne d’Arc)とは?
ジャンヌ・ダルク(1412-1431)は、神の啓示を受けてフランス軍に従事。
14世紀初頭に始まったイングランドとの百年戦争で功績を上げ、のちのフランス王シャルル7世の戴冠に貢献しました。
ちなみに百年戦争とは、1339年から1453年の約百年間にわたって断続的に続いたフランスとイングランドの戦いです。
フランス王国の王位継承およびイングランド王家のフランスに有する広大な領土をめぐり、壮絶な争いが始まりました。
当初は、イングランド軍が優位に戦いを進めていましたが、ジャンヌ・ダルクの登場により形勢は逆転。
1453年にイングランド軍はカレーを除く全土から撤退し、百年戦争の終結を迎えます。
1429年7月17日、神のお告げを受けたジャンヌ・ダルクに導かれ、王太子シャルルはランスのノートルダム大聖堂で戴冠し、晴れてフランス王シャルル7世に。
次第に孤立したジャンヌ・ダルクは、コンピエーニュの戦いでブルゴーニュ公国軍に捕らえられ、なんと、身代金と引き換えにイングランドへ引き渡されることに…。
ルーアンに連行されたジャンヌ・ダルクは、そこで宗教裁判にかけられます。
ジャンヌ・ダルクの死から25年後、ローマ教皇カリストゥス3世によりジャンヌ・ダルクの復権裁判が行われ、ジャンヌ・ダルクの無実と殉教が認められました。
そして1920年にはローマ教皇ベネディクトゥス15世によって、ジャンヌ・ダルクはフランスの守護聖人の1人に加えられました。
ジャンヌ・ダルクゆかりの地巡りのベストシーズン
フランスのベストシーズンは1年中と言っても過言ではありません。
どの季節も素晴らしいのですが、郊外へ行くなら気候の良い春から秋にかけてがおすすめです。
4月~10月までは営業時間が延びる施設が多く、多くのスポットを観光することができますよ!
せっかくなので、ジャンヌダルク関連の映画や書籍を観てから足を運ぶことをおすすめします!
ジャンヌ・ダルクゆかりの地5選
①ドンレミ・ラ・ピュセル(Domrémy-la-Pucelle)
ジャンヌ・ダルクは、1412年にフランス東部の「Domremy」という小さな村で、5人兄弟の3番目の子として生まれました。
熱心なキリスト教徒として育ち、13歳のときに神の声を聞きます。
ちなみに村の名前は、1578年にジャンヌ・ダルクの別称「オルレアンの乙女(la Pucelle d’Orléans)」にちなんで、「Domrémy-la-Pucelle」に改名されています。
ドンレミ・ラ・ピュセルには、今でもジャンヌ・ダルクの生家が一部残っており、歴史的建造物に指定されています。
またジャンヌ・ダルクが「初めて神のお告げを聞いた場所」と言われる生家の中庭には、石碑がひっそりと立っています。
生家に隣接したジャンヌ・ダルク博物館(Maison natale de Jeanne d’Arc)では、ジャンヌ・ダルクに関する資料を閲覧することができます。
またジャンヌがよく通っていたサン・レミ教会もすぐ隣り。1412年にジャンヌ・ダルクはこの教会で洗礼を受けています。
ジャンヌ・ダルク博物館 | |
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住所 | 2 Rue de la Basilique, 88630 Domrémy-la-Pucelle 地図 |
行き方 | パリ東駅(Gare de l’Est)からTGVで1時間半のナンシー駅(Gare de Nancy-Ville)でTERに乗り換え。ヌフシャトー駅(Gare de Neufchâteau)で下車し、そこからタクシーで10分。 |
時間 | 10:00-13:00 / 14:00-17:00(2,3,10月1日-12月15日) 9:30-13:00 / 14:00-18:00(4月-6月,9月) 10:00-18:30(7月-8月) |
定休 | 毎週火曜日(7,8月は休みなし) 12月16日-1月31日 |
料金 | 4ユーロ |
HP | https://maisonjeannedarc.vosges.fr/ |
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
②シノン城(Château de Chinon)
ユネスコの世界遺産に登録されているロワール川流域にあるシノン城もまた、ジャンヌ・ダルクゆかりの地の1つです。
シノン城は、フランス王太子シャルル(のちのシャルル7世)の居城で、1429年にジャンヌ・ダルクが王太子と初対面した場所です。
そうとも知らずに大広間に通されたジャンヌ・ダルクでしたが、群臣たちの中に紛れ込んでいた王太子シャルルを一目で見分け、ひざまずき、その場にいた人たちを驚かせました。
これにより神の啓示を受けたというジャンヌ・ダルクの言葉を信じた王太子シャルルは、イングランド軍に包囲され、陥落寸前だったオルレアンへとジャンヌ・ダルクを派遣したのでした。
一時は廃墟と化したシノン城ですが、19世紀以降に修復され、17世紀の調度品やタペストリー、シャルル7世の時代を再現した蝋人形などが展示されています。
また時計塔のジャンヌ・ダルク美術館には、ジャンヌ・ダルクに関する資料も展示されています。
シノン城 | |
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住所 | 2 Rue du Château, 37500 Chinon 地図 |
行き方 | パリのMontparnasse駅からTGVでTours駅まで行き、TERに乗り継いでシノン駅(Gare de Chinon)で下車。徒歩20分。 |
時間 | 9:30-17:00(1月、2月、11月、12月) 9:30-18:00(3月、4月、9月、10月) 9:30-19:00(5月1日-8月31日) |
定休 | |
料金 | 10.5ユーロ |
HP | https://www.forteressechinon.fr/fr/ |
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
③オルレアン(Orléans)
オルレアンはロワール地方屈指の商業都市で、ジャンヌ・ダルクゆかりの地として知られています。
王太子シャルルの信頼を得たジャンヌ・ダルクは、1万2千の軍勢を引き連れ、オルレアンに向けて出陣。
すでにフランス北部は、イングランド軍とブルゴーニュ派連合軍に支配され、オルレアンの街もまた200日間にわたってイングランド軍に包囲されていました。
最後の砦であったオルレアンに入城したジャンヌ・ダルクは、わずか10日間で解放させ、士気を高めたフランス軍は、一気に形勢を逆転。
街の中心にあるマルトロワ広場(Place du Martroi)には、ジャンヌ・ダルクの騎馬像が立っていて、台座にはジャンヌの生涯を描いたレリーフが刻まれています。
マルトロワ広場近くにあるド・ゴール広場(Place du Général de Gaulle)前には、ジャンヌ・ダルクの家(Maison de Jeanne d’Arc)があります。
ジャンヌ・ダルクが1429年4月29日から5月9日まで滞在したといわれている建物で、オリジナルの建物は第二次世界大戦中に焼失してしまいましたが、1960年代に再建されました。
現在はジャンヌ・ダルクに関する資料館になっています。
サント・クロワ大聖堂(Cathédrale Sainte-Croix d’Orléans)は壮麗なゴシック様式の建物で、聖堂内にはジャンヌ・ダルクの生涯を描いた10枚のステンドグラスやジャンヌ・ダルク礼拝堂を見学できます。
ジャンヌ・ダルクの生涯を描いた10枚のステンドグラスやジャンヌ・ダルク礼拝堂は必見。
オルレアンでは、毎年4月下旬から5月上旬に「ジャンヌ・ダルク祭(Fêtes de Jeanne d’Arc)」が盛大に行われます。
1429年4月29日にオルレアンへ入城し、5月8日にイングランドとブルゴーニュ派連合軍をオルレアンから撤退させたジャンヌ・ダルクの功績を讃えたお祭りで、フランス軍による軍事パレートや空軍の戦闘機がオルレアンの上空を飛行します。
なかでも1番の見どころは、英仏百年戦争時代を再現したパレード!
その年に選ばれた少女がジャンヌ・ダルク役を務め、中世の衣装を身に着けた人々が続きます。
ほかにも街には中世市場などが並び、さまざまなイベントが開かれ、街全体がタイムスリップしたかのような賑わいになります。
ジャンヌ・ダルクの家 | |
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住所 | 3 Place du Général de Gaulle, 45000 Orléans 地図 |
行き方 | パリのオステルリッツ駅(Gare d’Austerlitz)からTERに乗り、オルレアン駅(Gare d’Orléans)で下車。徒歩10分。 |
時間 | 14:00-18:00(10月-3月) 10:00-13:00 / 14:00-18:00(4月-9月) |
定休 | 毎週月曜日、1月1日、5月1日、12月25日 |
料金 | 5ユーロ |
HP | http://www.jeannedarc.com.fr/maison/maison.htm |
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
サント・クロワ大聖堂 | |
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住所 | Place Sainte-Croix, 45000 Orléans 地図 |
最寄り | パリのオステルリッツ駅(Gare d’Austerlitz)からTERに乗り、オルレアン駅(Gare d’Orléans)で下車。徒歩12分。 |
HP | http://www.orleans.catholique.fr/ |
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
④ランス(Reims)
ユネスコの世界遺産に登録されているランスのノートルダム大聖堂(Cathédrale Notre-Dame de Reims)は、816年のルイ1世から1825年のシャルル10世までの歴代国王の戴冠式が行われた場所です。
ゴシック様式の傑作と言われ、フランス三大聖堂の1つに挙げられています。
外壁に飾られた2300体以上彫像は圧巻で、なかでもファサードの左側にある彫像《微笑みの天使》は有名。
フランスで最も高い天井を持つといわれる聖堂内には、「シャガールブルー」と呼ばれる画家マルク・シャガールによってデザインされた見事なステンドグラスを見ることができます。
1429年7月17日、王太子シャルルはノートルダム大聖堂で戴冠の儀式を行い、フランス国王シャルル7世が即位しました。
この戴冠式には、ジャンヌ・ダルクも列席していました。ノートルダム大聖堂前の広場には、ジャンヌ・ダルクの騎馬像が大聖堂を見上げるように立っています。
毎年6月上旬に、ランスでも「ジャンヌ・ダルク祭(Les fetes Johanniques)」が開かれています。
民族衣装に扮した人々が行列行進をします。パレードの1番の見どころは、もちろんジャンヌ・ダルク。
馬に跨がり、右手にフランス国王の旗を翻したジャンヌ・ダルクとシャルル7世がともに練り歩きます。
ノートルダム大聖堂(ランス) | |
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住所 | Place du Cardinal Luçon, 51100 Reims 地図 |
行き方 | パリ東駅(Gare de l’Est)からTGVで45分のランス駅(Gare de Reims)で下車。そこから徒歩で12分。 |
HP | https://www.cathedrale-reims.com/ |
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
⑤ルーアン(Rouen)
フランス北部に位置し、かつてノルマンディー公国の首都として栄えた街「ルーアン」は、ジャンヌ・ダルクの終焉の地となった場所。
コンピエーニュの戦いでブルゴーニュ公国軍に捕らえられたジャンヌ・ダルクは、捕虜となり、イングランド軍に引き渡されます。
ルーアンに連行されたジャンヌ・ダルクは、ブーヴルイユ城で異端裁判にかけられました。
裁判にかけられている間、ジャンヌ・ダルクはブーヴルイユ城の主塔「ジャンヌ・ダルクの塔(Tour Jeanne d’arc)」に幽閉されていました。
1431年5月30日、ジャンヌ・ダルクは異端者として教会から破門され、死刑が宣告されました。火刑台はヴュー・マルシェ広場(Place du Vieux-Marché)に設置され、ジャンヌ・ダルクはここで19年の短い生涯を閉じました。
現在、火刑場になったヴュー・マルシェ広場には、十字架が建てられ、聖ジャンヌ・ダルク教会(Église Sainte-Jeanne-d’Arc de Rouen)が建てられています。
サント・ジャンヌ・ダルク教会 | |
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住所 | Place du Vieux Marché, 76000 Rouen 地図 |
行き方 | パリのサンラザール駅(Gare Saint-Lazare)からTERで1時間半のルーアン駅(Gare de Rouen)で下車。そこから徒歩で11分。 |
時間 | 10:00-12:00 / 14:00-18:00 金曜日のみ14:00-18:00 |
定休 | 1月1日、12月25日 |
HP | https://rouen.fr/eglise-sainte-jeanne-darc |
※最新情報は公式サイトでご確認ください。
ジャンヌダルクゆかりの地まとめ
「フランスの救世主」と呼ばれ、フランス史の中でも国民的な英雄として人気の高いジャンヌ・ダルクですが、人生の幕引きは悲劇そのものでした。
異端の判決を受け、火刑に処されたジャンヌ・ダルクでしたが、復権裁判により無実と殉教が認められ、フランスの守護聖人としてフランス人の心に今も生き続けています。
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